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瓦屋根の耐震性を知る

■ 耐震シミュレーション実施の背景

2001年(平成13年)に策定されたガイドライン工法で施工された瓦屋根は、震度7クラスの大地震でもその安全性が科学的に検証されています(瓦屋根自体の耐震性は検証済)。
しかしながら、大震災の発生の度に「瓦が重いから住宅が倒壊した」という報道が繰り返しなされた結果、瓦屋根を軽量な屋根材に変更する工事が行われています。

スレートや金属屋根でも倒壊することがあります

右の写真は、2016年(平成28年)4月14日の熊本地震で倒壊した住宅です。スレートや金属といった軽い屋根材であっても、住宅全体の耐震性能が低いと倒壊してしまいます。このように、軽い屋根材を使った住宅でも倒壊しており、「瓦が重いから住宅が倒壊した」という風評と矛盾が生じています。
そこで、全国陶器瓦工業組合連合会では、屋根材を軽くしただけで大地震による住宅被害に差異が本当に生じるかを検証するために、耐震シミュレーションソフト「wallstat(ウォールスタット)」を用いて、既存木造住宅の屋根を瓦からスレートや金属に葺き替えた単純な条件で耐震性を比較しました。併せて、耐震補強を加えた瓦屋根の耐震性も調べました。
瓦屋根の耐震性を知る

スレートや金属屋根でも地震で倒壊


■ wallstat(ウォールスタット)での耐震シミュレーション ◆フリーソフト wallstat公式サイトはこちら

住宅は、耐震診断による評点(※1)が1.0に満たない瓦屋根の2階建て住宅[(1)のケース]を想定し、屋根の軽量化を図るため、 スレート屋根[(2)のケース]や金属屋根[(3)のケース]に改修しました。
さらに(4)のケースでは、(1)の住宅の壁を増やす改修を実施し、(1)〜(4)の各プランに1995年(平成7年)1月に発生した兵庫県南部地震(JMA神戸)で観測された地震波を入力し、 建物がどのように揺れ、どのように壊れるかを検証しました。

wallstat(ウォールスタット)での耐震シミュレーション


■ シミュレーションの結果から分かったこと

  1. 耐震診断に基づく耐震補強を行わず、瓦屋根からスレートや金属に葺き替えても耐震性の向上は小さく、大地震時には被害を受ける可能性があることが判明しました。
    耐震診断を伴わない屋根の軽量化は、大地震時に倒壊する可能性があります

  2. 耐震補強は屋根の軽量化よりも建物の壁量を増やす改修が有効であることが判明しました。
    耐震診断から耐震補強の内容を定めることが重要です

  3. 耐震診断の評点が1以上の瓦屋根住宅は巨大地震に耐えられることが判明しました。
    瓦屋根は地震に弱いというのは間違いです

住宅の耐震補強は、第一に壁の筋交いや補強用面材による壁の補強、第二に基礎のひび割れの補修や無筋基礎の有筋化、第三に土台や柱下が腐朽している場合における改善・劣化対策が重要であり、最後のその他の項目として壁や屋根の軽量化が有効と言われています。(「木造住宅の耐震補強の実務」参照 一般社団法人 日本建築防災協会)
2016年(平成28年)4月14日に発生した熊本地震において「新耐震基準適用の住宅においても柱の固定などが不十分な住宅が倒壊したこと」は、これらの対策が正しく適正に行われることによって耐震補強となる証左であります。


【※1】 耐震診断の評点
評点1.5以上なら倒壊しない、1.0以上なら一応倒壊しない、1.0未満なら倒壊する可能性がある、0.7未満なら倒壊する可能性が高いと判断されます。評点は、建築基準法令で要求される耐力に対する建物の耐力で示されます。壁量を見るのが基本ですが、既存住宅では接合部補強が不十分なことがネックになっている場合もあります。
また、接合部や基礎の仕様、耐力壁のバランス、床などの水平構面の仕様、土台や基礎などの劣化の程度によって評点が減点される仕組みになっています。
【※2】 JMA神戸
兵庫県南部地震(1995年(平成7年)1月17日)、神戸市中央区中山手で観測された強震波形であり、最大加速度は818gal、震度は6となっております。当時の震度は現在の震度とは異なっており、現在の方法に換算すれば震度6強に相当します。(気象庁「強震観測について」より)?


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